子どもは一人ひとり違い、同じ子どもでも日によって様子が変わります。ベルテールがマニュアルを当てはめず、職員・子ども・家族と一緒に支援を手作りしている理由をご紹介します。
子どもの支援について話していると、
「こういうときは、こう対応するのが正しい」
と言い切りたくなることがあります。
もちろん、支援について学ぶことや、経験を積むことはとても大切です。
でも、子どもたちは一人ひとり違います。
同じ診断名があっても、好きなことも、苦手なことも、安心できる相手も違います。同じ子どもでも、学校で何かあった日と、ゆっくり眠れた日とでは、表情も行動も変わります。
だからベルテールでは、決まった方法を子どもに当てはめるのではなく、その子の今の様子を見ながら、支援を一つずつ手作りしています。ベルテールの支援が、子どもたちからとても好かれているのは、今の「“僕の・私の”気持ち」に丁寧に向き合った毎日が自然に設計されているからだと思います。
子どもと関わっていると、職員によって見えているものが違うことがあります。
ある職員には、少し不機嫌そうに見える。
別の職員には、疲れているように見える。
また別の職員は、学校で何かあったのではないかと考える。
誰か一人の見方だけを正解にすると、見落としてしまうことがあります。
ベルテールでは、職員それぞれの気づきを持ち寄りながら、
「今日はどうしてこうなったのだろう」
「この子は何を伝えようとしているのだろう」
「次はどんな関わり方を試してみようか」
と、みんなで考えます。
経験の長い職員の意見だけが正しいわけでも、資格を持つ職員の意見だけが正しいわけでもありません。
子どもと一緒に遊んだから気づけることもあります。送迎の車内で交わした短い会話から分かることもあります。普段とは違う小さな表情に、若い職員が最初に気づくこともあります。
それぞれの職員が歩んできた人生や、得意なこと、感じ方の違いも、支援をつくる大切な材料です。
マニュアルがないと聞くと、
「職員がそれぞれ、自分の好きな方法で支援するのか」
と思われるかもしれません。
そうではありません。
子どもにどうなってほしいのか。
今、何に困っているのか。
どんなときに安心して過ごせるのか。
こうしたことを職員同士で共有し、一つの関わり方を試します。そして、うまくいったかどうかを振り返り、必要であればまた考え直します。一度うまくいった方法でも、ずっと同じように通用するとは限りません。
子どもが成長すれば、必要な支援も変わります。だから支援は、完成したものを繰り返す仕事ではなく、子どもの変化に合わせて育て続ける仕事なのだと思います。
事業所で見えている子どもの姿は、その子の生活の一部分です。
学校での様子。
家庭で落ち着ける過ごし方。
最近好きになったもの。
苦手になってきたこと。
保護者が感じている心配や、小さな成長。
そうしたことを教えていただくことで、事業所だけでは分からなかった理由が見えてくることがあります。
ベルテールでは、保護者とのやり取りを、単なる報告や連絡とは考えていません。
子どものことを一緒に考えるための、大切な支援の時間です。
日々の関係の中で、保護者から率直に相談していただけることは、職員にとっても大きな助けになります。
支援に迷ったとき、職員だけで答えを出そうとしなくてもいい。
家庭と事業所が同じ方向を見ながら、その子に合う方法を一緒に探していける。
この関係があることは、ベルテールで働くうえでの大きな安心にもつながっています。
「うちの子のことを一番知ってくれている」と思ってくださっている保護者と毎日接し、その子の日々の成長の喜びを共有できる仕事環境は、心穏やかに支援の仕事をする上でベルテールが長年培ってきた大きな財産です。
手作りの支援は、一人で何でもできる人がつくるものではありません。
身体を動かす遊びを考えるのが得意な人。
工作や絵が得意な人。
子どもの小さな変化に気づく人。
保護者の話をゆっくり聞ける人。
場を明るくする人。
落ち着いて状況を整理できる人。
職員にも、それぞれ得意なことと苦手なことがあります。
自分にできないことを無理に抱え込むより、得意な人に安心して任せる。その代わり、自分にできることでチームを支える。
一人の優れた支援者が子どもを支えるのではなく、違う力を持った人たちが集まり、一つのチームとして支える。
それが、ベルテールの考える手作りの支援です。
支援に正解が一つしかなければ、仕事はもっと簡単かもしれません。
でも、子どもはマニュアルどおりには動きません。
思うようにいかない日もあります。昨日までよかった方法が、今日は合わないこともあります。
そのたびに立ち止まり、誰かと話し、別の方法を試してみる。
そして、子どもの表情が少し和らいだり、これまでできなかったことが自然にできるようになったりする。
ベルテールの支援の面白さは、そこにあります。
自分の方法を正解として押しつけるのではなく、子どもや家族、仲間の声を聞きながら、よりよい方法を探し続ける。
支援は、最初から完成しているものではありません。
人と人との関係の中で、少しずつつくられていくものです。
だから私たちは、支援は手作りだと考えています。